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AIと知的財産権(著作権・特許権)
~AIが生み出した著作物や発明の権利は?~
政府はAI(人工知能)を使った対話型ソフト「チャットGPT」を行政分野で活用することを検討しています。また、全国の自治体や企業でも「チャットGPT」」の活用を模索する動きが広がっています。
「チャットGPT」は、米国の「オープンAI」というベンチャー企業が開発したAIです。膨大なデータを学習し、利用者が質問をすると、すぐに自然な文章で回答する高度な性能を備え、国内でも急速に利用が広がっています。
しかし、「チャットGPT」に代表されるAIの利用に関しては、資料作成やデータ収集などの効率化が図れる一方で、著作権などの知的財産権の課題も浮かび上がっています。
【思想・感情を創作的に表現したもの】
現行の著作権法では、著作物とは「思想・感情を創作的に表現したもの」と定義されているため、自ら思考や感情を持たないAIが生み出した創作物は著作物でなない、つまり、著作権は発生しないということになります。
AI創作物については、政府の「知的財産推進計画2019」では、次のように記載されています。
①利用者に創作的寄与等が認められれば「AIを道具として利用した創作」と整理でき、当該AI生成物には著作物性が認められる
②利用者が(創作的寄与が認められないような)簡単な指示を入力した結果出力された生成物はAIが自律的に生成した「AI創作物」であると整理でき、現行の著作権法上は著作物と認められない
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/chizaikeikaku20190621.pdf
このように、現行の日本の著作権法ではAIが自動的に生成した「AI創作物」については著作物とは認められませんが、その作品の表現にどれだけ人間が関与しているかによっては著作権が発生する場合もあります。
例えば、作者が自分の意図するものを試行錯誤してAIに描かせたり、AI創作物に人が加工、修正等など行えば、人の関与があるため、「AIを利用して人間が主体となって創作した」と認められれば、著作権が発生します。反対にAIに簡単な単語や文章を入力して、たまたま生成された創作物には著作権はないとされています。
【発明者は人間に限る】
特許で保護される「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と特許法で定義されています。
「思想」や「創作」は、人間だけが持つものなので、AIが生み出した創作物は、「発明ではない」、つまり、特許権は与えられません。
特許庁は、「発明者」は機械ではなく、人間でなければならないとの判断を示しています。この発明者に関して、特許庁は、「発明者の表示は、自然人に限られるものと解しており、願書等に記載する発明者の欄において自然人ではないと認められる記載、例えば人工知能(AI)等を含む機械を発明者として記載することは認めていません」と見解を示しています。
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/hatsumei.html
そのため、発明者の欄にAIが記載された特許出願がなされた場合、審査では発明者として自然人以外のものが記載されていることを理由とする補正指令が通知され、補正により方式違反が解消されない場合、特許出願は却下されます。
AI技術の進化のスピードに対して、現行法では不透明な部分もあります。そのため、特許庁では、AIと知的財産権をめぐる法整備について検討を進めています。今後、新たなルールが整備される可能性があるため、動向に注意する必要があります。
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